神奈川県立中央農業高等学校の位置する神奈川県では、2027年に国際園芸博覧会の開催が予定されており、2025年の大阪関西万博においても、生徒による横浜国際園芸博に向けた展示などに取り組みました。ナポリ県のエウジェニオ・パンタレオ高校は、生徒の国際的なプロジェクト参加を積極的に行っており、ドバイ万博や大阪関西万博にも生徒を派遣してきました。このグループでは、2027年の横浜国際園芸博覧会期間中に直接国際交流ができる可能性を見据え、両校の生徒が生産しているものが消費者にどのような形でテーブルまで届いているかの比較を中心に交流を行います。
農場からテーブルへ:私たちが育てているもの、食卓に並ぶまでの比較
神奈川県立中央農業高等学校
住所:神奈川県海老名市中新田4-12-1
ホームページ:https://www.pen-kanagawa.ed.jp/chuo-ah/
中央農業高等学校は、県の中央部に位置し、発展を続ける海老名市にある令和7年で119年目を迎える歴史ある県内唯一の農業単独校です。地域からは「中農(ちゅうのう)」の愛称で親しまれており、園芸科学科、畜産科学科、農業総合科3学科を有し、実験・実習など実践的学習と今後重要とされる課題解決型の学習に重きを置く伝統ある学校でもあります。
海老名市の南に位置し、水田に囲まれた自然豊かな地域にあります。西には相模川が流れ、その先には凡沢連峰や富士山が望めます。県立高校の中でも広い敷地を有し、温室・水田・野菜ほ場・果樹園・牛舎・豚舎・鶏舎・実験室棟などの充実した施設があります。
そんな恵まれた施設・設備を最大限に活用し、園芸科学科では、主に野菜・草花・果樹の栽培や、造園の施工管理などを学習し、植物育成に関する技術を身に付けます。都市緑化や自然保護にかかわる技術、植物バイオテクノロジーなども学ぶことができます。
畜産科学科では、毎日交代で、多くの家畜への給餌、搾乳、集卵などの管理実習を行い、動物たちの命について学び畜産物を生産するための技術を身に付けます。家畜の生理、生体から飼養管理、繁殖技術まで実践的に学ぶことができるほか、ヨーグルトやベーコンと言った畜産物の加工や利用技術も学びます。
農業総合科では、生産・販売、食品製造、栄養科学、流通・経営など農作物の生産から食品の製造、加工、販売までの知識・技術を総合的に学習し、身に付けていきます。2年生からはアグリビジネスコース(農産物の生産からマーケティングまでを経営の視点から学ぶ)とフードサイエンス(原料の加工特製、加工食品の製造技術、食品の成分分析等)に分かれ、より専門的に学びます。
本校は、農作物栽培や家畜の飼育、食品加工などの実験・実習などを通して「命を守り、育てる力」を身に付けるとともに、「自然との関わり」、「協働の楽しさ」について学べる場所ともなっています。
エウジェニオ・パンタレオ高等学校 Istituto di Istruzione Secondaria Superiore "Eugenio Pantaleo"
住所:Via Cimaglia, 96 – 80059 Torre del Greco (NA), Italy
ホームページ:https://www.iissspantaleo.edu.it/
ナポリ県のトッレ・デル・グレコにあるエウジェニオ・パンタレオ高等専門学校は、伝統と革新を持つ歴史ある教育機関です。ジュゼッペ・ミンジョーネ校長のリーダーシップの下、学校と地域社会の連携や文化的ニーズに対応し、カリキュラムの近代化と継続的な見直し、そして革新的で実験的な教育方法の推進を目的とした運営方針により大きく発展しています。
当校では、環境、地域文化、イノベーションに深く結びついた、バイオテクノロジー・農業・観光ホスピタリティのコースがあります。
バイオテクノロジーコースでは、学生はラボラトリーで作業し、天然の物質や食品の化学的・生物学的分析を行い、環境と人々の健康を守る方法を学びます。農業科では、地元の農産物の分析、植物研究を通して、持続可能性を尊重し、IT・デジタル技術を用いて郷土を守り、豊かにするための方法を学びます。伝統を尊重し、農業・エコロジー・循環型経済・イノベーションについて学習を深めます。学校ではドローンを、検査、調査、配達、監視のために使用し、効率性、安全性、運用コストの削減を実現しています。
観光ホスピタリティ科は、学生に調理、レストランサービス、そして観光・ホスピタリティの現場で働く機会を提供します。学生は伝統的なイタリア料理の調理法、レストランやホテルでの業務、そして代表的な地元産品の理解とマーケティングを学びます。授業では調理とホール形式のワークショップが行われ、学生は実技を通じて学びますが、特に、環境負荷の少ないレシピの作り方や廃棄物の削減技術を学ぶことができます。
本校の海外PCTO活動(イタリアの高校の横断的スキル獲得を目的とする課外授業)は、学生の知識向上と、現代社会で求められるソフトスキルの育成を通じた、就職活動促進を主な目標として計画されており、非常に有益な経験です。近年の主なものには、ドバイ万博(2022年)、フィラデルフィア連邦銀行での学業と仕事の両立プログラムとニューヨーク・ウォール街訪問(2023年)、カリフォルニア・シリコンバレーにおける起業家精神のダイナミクス研究(2024年)、そして大阪万博(2025年)への参加などが挙げられます。
エウジェニオ・パンタレオ高等専門学校では、自然は単なる研究対象ではなく、理解・尊重・保護すべき資源として位置づけられています。自然は、学校と地域が共に成長し、生徒一人ひとりが学び、実験し、未来を築くための場所です。バイオテクノロジー、農業、観光ホスピタリティといったすべての専攻科において、持続可能性への重点は学習と思考プロセスの不可欠な要素です。本校では、技術が環境のために活用され、情熱、専門知識、そして敬意をもって伝統が日々刷新されています。

