「生乳生産本州一のまち」として知られ酪農を中心とした農業が盛んな那須塩原市に位置する那須拓陽高等学校と、約40頭の乳牛の牛舎とチーズ工房(イタリア語ではcaseificioと言います)有するアントニオ・トーシ農業技術専門高校は、両校で生産しているチーズや味噌などの発酵食品、そして郷土特産の農産品を紹介し合い、共有したレシピを実践してみようという目標をもって国際交流に取り組みます。
【テーマ】発酵食品と私たちの郷土の食文化
栃木県立那須拓陽高等学校
住所:栃木県那須塩原市下永田4-3-52
ホームページ:https://www.tochigi-edu.ed.jp/nasutakuyo/nc3/
学科紹介:農業科の「農業経営科・生物工学科・食品化学科」、家庭科の「食物文化科」、「普通科」の5学科
本校は、栃木県北部・那須塩原市に位置し、広大な那須野が原の一角にあります。首都圏から約150kmの距離にあり、アクセスの良さと豊かな自然環境に恵まれています。市南部には複合扇状地が広がり、扇央部には本州有数の酪農地帯、扇端部には田園地帯が広がっています。那須塩原市は「生乳生産本州一のまち」として知られ、酪農を中心とした農業が盛んな地域です。本校はこの豊かな地域資源を活かし、農業教育を中心に多様な学習を行っています。1945年に県立那須農学校として創立され、1988年に普通科が設置され、翌年1989年に校名が栃木県立那須拓陽高等学校に改称されました。1997年には食物文化科が新設され、5学科体制の「栃木県立那須拓陽高等学校」として新たにスタートし、現在に至ります。本校は今年で創立80周年の節目の年を迎え、多くの卒業生が、地域の基幹産業である農業や食品関連産業に貢献し、さまざまな分野で活躍しています。
本校農業科では全生徒が農業クラブに所属し、各種発表大会(プロジェクト発表・意見発表)・農業鑑定競技会・家畜審査競技会・フラワーアレンジメント競技会への出場、農業関連資格の取得、地域社会との連携やボランティア活動に参加する等、農業に関する様々な活動に取り組んでいます。令和7年度に開催される「第76回日本学校農業クラブ全国大会(西関東大会)」においては、本校生徒が意見発表の部に関東ブロックの代表として出場することが決定いたしました。今後も地域とともに歩みを進め、農業教育のさらなる充実と発展を目指してまいります。
農業クラブとして、このような国際交流活動に参加するのは、私たちにとって初めての経験であり、大変光栄に感じております。日本とイタリアという異なる文化や風土を持つ国同士が、「農業」という共通のテーマを通じてつながり、互いの課題や実践的な技術について意見を交わし、学び合えることは、非常に意義深いことだと考えています。今回の交流を通じて新たな視点や解決のヒントを得られることを期待しています。また、「食」という生きていく上で欠くことのできないテーマを通じて、文化的な理解を深め、友情を育むことができるのも、この交流の大きな魅力のひとつです。今後の活動を通じて、国境を越えた絆を築き、次世代の農業を担う仲間として成長していけることを心から楽しみにしています。
アントニオ・トーシ農業技術専門高校(ITAS ANTONIO TOSI)
住所:Viale Marconi 60 – Codogno (26845) – Lodi – Lombardia, ITALY
ホームページ:https://www.agrariotosi.edu.it
Instagram: https://www.instagram.com/itas.tosi.codogno
本校には農場、寄宿舎、酪農場、そして複数のラボラトリー(化学、物理、生物、英語)があり、約22ヘクタールの農場は、ブドウ園、果樹園、そして家畜の飼料作物に分かれています。本校の農場の理念は、環境と動物福祉を尊重しながら、最高品質の製品を生産することです。
・牛舎には約90頭の動物が飼育されており、そのうち40頭は授乳中です。閉鎖循環型のフリーストール方式を採用しています。消費者に新鮮で本物の製品を提供する上で、動物福祉は最優先事項です。
・酪農場では、農場で生産された生乳の一部を加工しています。チーズは、学年ごとに交代でサポートを受けながら、本校の農業法人内のスペシャリストと作られています。生産するのはリコッタチーズ、半加熱プレスチーズ、カチョッタチーズで、直売も可能です。
・当校の温室で販売されている花や植物は、主に室内観賞用であり、その管理と成長は学生と専門職員によって監視管理されています。また、当校には野菜栽培用の冷温トンネルも設置されています。
・ワイン醸造学実験室では、学生はワインとビールの醸造方法を学びます。
・太陽光発電実験室は、農場にグリーンエネルギーを供給するだけでなく、屋外教室としても機能しています。
・蜂蜜ラボラトリーでは、学生はミツバチが採取した蜂蜜の瓶詰め方法を学びます。
・製品加工ラボラトリーでは、当農場で収穫された果物(特産品のマルメロや、サクランボ)や外部から購入した農産品からジャムや保存食を製造しています。
・本校付属の寄宿学校は、交通事情で通学が困難な約90名の学生が利用しており、男女2つのセクションに分かれ、学校職員が調理した新鮮な食事を提供する食堂も併設しています。
本校では、農業用車両およびドローンの免許、害虫駆除免許、養蜂、人工授精、気象学入門、民間防災ボランティア養成、英語、3Dプリント、酪農活動、ワインブドウ園剪定、運転競技、イベント用の雌牛の準備、食品加工、土壌サンプル採取など、数多くの課外コースも提供しています。
本交流事業を通じて、将来的に両校の生徒が対面し交流する日が来ることを期待しています。
