知らなかったイタリア経済ファクト10選 「未来を築く人間中心の経済2023」SYMBOLA財団

日伊経済連合会の友好団体であり、イタリア経済に関する調査活動などを行うSYMBOLA財団より、 「Italy in 10 selfies:A human-centered economy that helps build the future」が発表されました。この調査では、毎年、ほとんど知られていない、または過小評価されていることが多いイタリア経済における注目すべき10のファクトが紹介されています。

SYMBOLA財団のErmete Realacci会長は、この調査結果の発表にあたり「世界の化粧品の55%がイタリア産であること。イタリア最大の製鉄所Arvediが、世界で初めてゼロカーボン認定を受けた製鉄所であること。イタリアの電力会社Enelが欧州最大の太陽電池モジュール生産工場建設を国内に建設予定であること。経済のレジリエンスにイタリアが持つ多くの強みを生かし、気候変動を始めとする課題に直面するため、世界と協力し平和で、安全で、誰も置き去りにされない文明化された優しい世界を構築していく必要がある」と述べています。

日伊経済連合会も、この考えに賛同し、発表内容を日本語で紹介します。

1.イタリアはEUサーキュラーエコノミーのリーダー

イタリアは、一般および特殊廃棄物の総量のリサイクル率がEUで最も高い国です (83.4%)。
これは、EU平均 (53.8%)、ドイツ (70%)、フランス (64.5%)、スペイン(65.3%) の平均を大きく上回っています。
また、 イタリアは、二次原材料(再生資源)の使用において、フランスに次いで第2位。使用原材料総量に占める二次原材料の割合は 21.6%で(EU平均 は12.8%)、2012年と比較し+55%となっています。

石油精製廃棄物の処理において、イタリアでは2021年に再生産率98%を達成しています。 (EU61%)。鉄鋼のリサイクル率は、2020年に82%に達しています。 (EUでは55.7%、全世界では28.62%)。リサイクルされた材料を代替物として使用することにより、イタリアでは毎年2,300万トンの石油相当量と6,300万トンの CO2相当量が回避されています。

2.企業の環境投資拡大で、ものづくりにおける資源効率EU1位

イタリアは、製造における原材料・水・エネルギーの使用と温室効果ガスの排出削減を複合的にそくていする指標において、274点/300点満点で、資源効率においてEU 1位にランクされています。
本指標からは、イタリアがUE平均(147点)、ドイツ(167点)、フランス(162点)、スペイン(131点)よりも、かなり高いスコアを獲得していることが分かります。

イタリアでは、2008年から2019年にかけて、製造における一次原材料の使用量-44.1%削減に成功しました(同期間におけるEU平均-33%)。
イタリアでは、過去5年間で、非農業企業の3分の1以上が環境投資を行っており、同時に、これらの企業はより多くの輸出業績・雇用創出を記録しています。

3.再生可能エネルギー分野における世界最大の企業はイタリア企業

イタリアの電力会社Enelは、再生可能エネルギー分野における世界最大の企業で、EU、アメリカ、アフリカ、オセアニア、アジアに所有する風力、太陽光、地熱、水力発電所からの発電容量が2021年に53.4ギガワット(GW)で、2022年は59GWに達したと言われています。2021年12月31日時点で、Enelの時価総額は511億ドルに達し、Enelの持続可能性への継続的な取り組みは、ダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックスやMSCI World ESG Leadersなどの評価でも証明されています。

世界を代表する再生可能エネルギー企業の発電量
(図)世界を代表する再生可能エネルギー企業の再エネ発電量


Enelは現在、イタリアのカターニアでEU最大の太陽電池モジュール工場を建設中です。この工場では現在のEU全体の生産能力を上回る、年間3GW分の生産が見込まれています。

4.世界のファッションをリード、輸出額はEU1位、世界では中国に次いで2位にランキング

豊かな芸術と歴史に育まれたイタリアは、デザインの世界でも世界をリードしており、テキスタイル・ファッション製品・アクセサリー(TMA)の輸出において、輸出額では中国(3470億ユーロ)、イタリア(666億ユーロ)、ベトナム(528億ユーロ)、インド(478億ユーロ)、ドイツ(475億ユーロ)と、EU1位、世界では中国について2位にランキングしています。ファッションはイタリアの貿易収支に2番目に大きく貢献しており、輸出額は売上高の約75%を占めています。

5.インテリアデザインにおいてEU1位。 「メイド・イン・イタリー」 の美しさと持続可能性が特徴

イタリアは、デザイン部門の売上高で41億5000万ユーロ(EU合計の19.9%)でEU第1位で、そしてドイツ(39億6000万ユーロ)、フランス(22億2000万ユーロ)、オランダ(21億9000万ユーロ)とスウェーデン(19億5000万ユーロ)が続きます。
この業界におけるEU内の労働者5人に1人はイタリア人(54,284人、EUの全体の19.1%)です。今年で61回目を迎えた世界最大のデザインの祭典、ミラノのSalone del Mobile(通称ミラノサローネ)が物語る通り、 「メイド・イン・イタリー」にはデザインと美しさがあります。また、イタリアの家具製造業も環境投資に積極的であることが調査で分かっています。

6.貿易収支においてイタリアの造船業が世界でNo.1

イタリアは、造船業における貿易収支が31億ドル(2020年から+10億ドル)で世界第1位です。2位以降は、オランダ(15億ドル)、ドイツ(13億ドル)、ポーランド(9億ドル)、英国(7億ドル)と続きます。
プレジャーヨット、スポーツ ヨットおよび固定エンジン搭載船の分野でも30億4000万ドル1位を獲得しており、オランダ(14億6000万ドル)が2位となっています。

7.ワイン生産と地理的表示(GI)の世界的リーダー

2021年のイタリアのワイン生産量は50.2百万hlで、フランス(37.6百万hl)とスペイン(35.3百万hl)を超える世界のリーダーであることが確認されました。
生産量の55%を、526のカテゴリーのGIであるDOP(原産地呼称保護)とIGP(地理的表示の保護)製品が占めています。
2021年はイタリアのワイン輸出にとって記録的な年となり、売上高は71億ユーロ(2020年から12.4%増)となり、農産食品の輸出の14%を占めました。
イタリアには109,423ヘクタール(2019年)のぶどう畑があり、その98%はワイン生産用のぶどう畑です。
また、DOP、IGP、STG (英語ではTraditional Speciality Guaranteed)などの地理的表示(GI)においてワイン 526件、食品320件、スピリッツ35件が登録されており、GI認定の数において、EUおよび世界1位です。

8.食品やコーヒーの製造、調理、加熱用の業務用機器・装置の輸出で世界第1位

業務用のエスプレッソマシンなどを含むホットドリンクや食品の製造・調理・加熱のための業務用の電化製品および装置の輸出において、イタリアは世界第1位(12億ドル)です。
2位以降は、ドイツ(9億7,400万ドル)、米国(6億5,000万ドル)、スイス (6億2700万ドル)、中国(5億2000万ドル)が続きます。
業務用のエスプレッソマシンについて、イタリアは5億ユーロの生産量を誇っており、うち75%(3億7,500万ユーロ)が輸出用です。

9.医療における紫外線および赤外線技術で世界第1位

イタリアは、医療外科用の紫外線および赤外線装置の世界1位の輸出国です(1億9,530万ユーロ)。次いで、米国(1億2,330万ユーロ)、ドミニカ共和国 (4,290万ユーロ)、マレーシア (4,270万ユーロ)、ドイツ(3,120万ユーロ)となっています。
この分野においてイタリアでは、2019~2021年のパンデミック期間の間に、+44.0%の変化が記録されました。イタリアは、医療機器部門全体での雇用に関してEU内ではドイツ(235,000人)に続く2位(118,837人)となりました。

10.EU加盟国間でのスポーツ用品の貿易収支の第1位、かつウィンタースポーツウェアの輸出で世界第1位

イタリアは、スポーツ用品輸出額において32億6,400万ユーロ(EU第4位)、同時に貿易黒字は8億9,410万ユーロ(EU第1位)という特殊な形でEUのスポーツ業界で重要な役割を果たしています。
そのうち約25%がスポーツシューズ、20%が体操・陸上競技・水泳用具、15.8%がボート・ウォータースポーツ用具に関するものです。
同時に、スキーやスノーボードのブーツ、クロスカントリースキーのブーツなど、冬用スポーツシューズの分野においては、輸出において世界第1位で、2026年の冬季オリンピックは、イタリア北部の都市ミラノとコルティナ・ダンペッツォで開催されます。

以上、Symbola財団(Fondazione Symbola)による「Italy in 10 selfies:A human-centered economy that helps build the future」を日本語にてご紹介させていただきました。